アーチストステートメント2024

 

「考える」「感じる」


僕の、絵画制作の基本的考えは「Translation-翻訳」という事です。ブルースリーの有名な言葉ではないですが「考えるな
感じろ!」なのです。僕は、絵を描く時、何を考えているかと聞かれたら「何も考えてないよ」と答えます。でも、「何か
を感じながら描いている」とも答えます。その「何か」とは、この宇宙に、中心があるとしてら、そこから発せられる信号
もしくは、時間軸で言えば、自分の遺伝子の持つ、太古の記憶、宇宙の始まりの頃の記憶かもしれません。僕は、ある種ト
ランス状態で、その「信号」「記憶」を「感じ、受信」しそれを「絵画」として「翻訳」する、というのが、自分の「絵を
描く」という行為です。美術用語では「オートマチズム」というのでしょうか?だから、「絵」は、自分の中から何かを生
み出す、というより「翻訳」する行為なのです。しかし、ある先輩作家からは「感じる」だけでは、絵はできないよ!「考
える」と「感じる」の間を行きつ戻りつして「絵」は出来上がると言われました。また、横尾忠則さんは、「本」をほとん
ど読まれないそうですが、彼も「本を読む」とは、思考作業で、「考える」行為。絵描きは、「考える」より「感じる」方
が重要なのでは、という考えとのこと。横尾さんが言われるには「考える」と「感じる」は、水と油のような精神作業との
こと。自分は、目下のテーマは、この「考える」と「感じる」という、二つの作業を、制作に於いて、如何に消化するか、
という事です。ある方が言われるには、仏教の修行では、「作務」という、肉体労働をする修行があるとか。座禅を組んで
いざ「無」になろう、ではなく、夢中になって「作務」に取り組んでいる時の方が、心が「無の状態」なのだとか、

2024  加藤 K