抽象画の基準

バスキアは、多くのファンがいて世界的に認められている画家だが 、では、抽象画は、
なにを基準に「いい絵」「いまいちな絵」と鑑賞者は判断するのだろう。具象画なら
「構図のバランスいい」とか、「顔の描写が素晴らしい」とか、一般の鑑賞者にも、 判
断基準が明確である。では、抽象画はどうだろう?例えば、一流のジャズプレイヤー
なら、抽象画を観るとき「この構図は、もう少しここの間合いとリズムを締めた方がいい」
とか「ここに、もう少し黒のインパクトがあった方が、絵としてリズミカルで美しい」とか、
わかるのでは?一流のジャズプレイヤーでなくても、絵が好きな人なら、この絵は素晴
らしいが、この作家のこちらはいまいち、とかわかる。また、抽象画で「この絵は、ぐっとく
る」という部分は、言葉では具現化できない何か、人間に普遍的な何かに触れているの
で結果「グッとくる」と感じるのだろう。抽象画は、でたらめに描いているのではなく、作
家が、ある何かと繋がって描いている、また、その何かをうまく翻訳できた時、「抽象画の
名作」は生まれるのだろう。

2020年 2月2日  加藤 K記