宇宙派についての考察

 

洋の東西をこえて、美術の歴史を見ると、様々な美術運動が展開されてき
た。西洋美術では、印象派から現代美術に至るまで、産業・テクノロジーの
発達や経済運動・政治的変化の影響を受けながら、フランス・パリから、ア
メリカ・ニューヨークへと、様々な美術運動が起こり展開してきた。そして
現在インターネットの普及により、美術の形も、新しい段階に移行しつつあ
るように見える。

メディアが、まだ発達していない、情報伝達の緩やかな時代はそれぞれの
美術運動を、それぞれのイズムを掲げて宣言しなければならなかった。しか
し、インターネットの発達した現代は、情報を、一瞬で地球の裏側と共有で
きる時代となった。すなわち、ある種のイズムを宣言する必要がなくなったの
かもしれない。

また、テクノロジーの発達は、人類に、宇宙空間という、新しい開拓の場を与
えた。西部開拓に邁進してきたアメリカは、現在、次の開拓地を、宇宙空間に
まで求めているように思える。

産業革命がもたらした、デュシャンの「レディーメイド」や、ウォーホルのポップ
アートの次の現代は、インターネット時代のもたらす、情報のグローバル化を
受ける「地球派」もしくは「宇宙派」の時代なのかもしれない。



平成27年5月3日 加藤 K記