私が、作品制作において、常に思うことは、宗教、科学、哲学などで連綿とテーマとしてきた、
この宇宙の中心にある「何か」から発信されている信号を、よりクリアーに受信して、絵画表
現等で「翻訳」する、という行為です。
ある人は、その何かを「愛」というかもしれない。ある人は、それを「真理」という
かも知れない。
また、ある人は、それを「秩序」「正義」などというかもしれません。
絵画制作において、自
分が無心になっているときに、その「何か」と繋がる瞬間があります。
例えば、ゴッホの自画像を観ると、彼とはフランス語で直接会話できなくても、自画
像の瞳
から発せられる「何か」から、強いインパクトを受けます。そして、言語では翻訳でき
ない「
何
か」をキャッチすることができます。それは、いわば、言語を超えた言語、「魂」
のレ
ベルの言
語
なのかも知れません。その「魂の言語」は、芸術、音楽、スポーツなどにも偏在する。
僕の好きなブルースシンガーの音楽を聴くと、何を歌っているかはわからなくても、やはり「
何
か」を感じて、思わずダンスしたくなります。
絵画での評価で、一番の評価は、どんな賛辞よりも、その作品を前にして「沈黙」して
しまう
ことだと思います。
2013年 春 加藤 K記