54歳の告白
自分が若いころから体験してきたこと。統合失調症の陽性症状と陰性症状。陽性症状の時の
不安発作と言ったらいいのか、恐怖は、自分が存在している事が、底なしに恐ろしい。寝て
いても、自分から逃げるわけにはいかず、この世に、このような恐怖があっていいのだろう
か?という程に、もしかしたら死より恐ろしい体験を、初発、再発と、二期体験した。二期
というのは、それぞれ、地震の様に、恐怖の激震が何度も訪れ、その状態から、陰性症状に
移るのに、1年以上かかる。また、陰性症状になっても、長時間人と対面したり、他人の多
いところに長時間居ると、死にたくなるような不安発作に襲われる。陰性症状も軽くなった
今でも、飲み会や、長時間の人との対面は避けている。ライブハウスや、パフォーマンスの
イベントに行かないのは、そういった事情がある。また、薬を止めると、しばらくは調子が
よくなり、突然、ガクッと陽性症状に陥る。自分が、発病した東京にあまり行かないのは、
そういった事情である。東京の街が悪いと言っているのではなく、自分には合わなかった。
アーティストとして、同じ病気で、ニューヨークで活躍されている草間彌生さんは、本当に
頑張られていると思う。現在は、インターネット時代、名古屋に根を張って、できるだけの
ことはしようと思う。ただ、こうした、青春期からの苦しみは、自分の制作の原動力ともな
っている。今は、薬を、時々忘れることがあっても、必ず朝・昼・夕・就寝前と飲むように
している。統合失調症患者、54歳の告白です。しかし、こういった若いころの苦しみが、今
の自分のガッツに繋がっているし、制作にも反映している。よく、若いうちは買ってでも苦
労しろという。薬を止めることなく、若いころの苦労をかみしめ、人生の後半を過ごしてい
る。同じ精神の病で、亡くなってしまった先輩もいる。自分も、よく死ななかったな、と思
うこともあるが、ある意味で、充実した、幸せな人生かもとも思う。
2023年6月27日
加藤 K記