芸術家

僕は、普段「絵画」を描いたり、「詩」を書いて、こういったインターネットや、画廊空間で
表現活動をしているのだが、「芸術家」がどうあるべきか、ということを、僕なりにいつも自
問している。

「アウトサイダー・アート」という不思議な絵画世界の存在を知っているが、果たして、それは
「芸術」と呼べる物か?

傾向としては、「知的障害」の人たちが、こういった類いの絵画を描く傾向にあるようだ。

確かに、観てみると不思議で、神秘的な世界である。

しかし、彼等は、病院や、治療施設のような、社会と隔離された世界で、絵画制作をしている。

僕は、「芸術」とは、クレイジーな部分を持ちながらも、ぎりぎりの領域で、社会常識との接
点で表現しているものが「芸術家」のあるべき姿だと考える。

シュールレアリズムのように、超現実的な世界観を、現実社会へ勇気を持って「問題定義」した
姿勢に、ぼくはとても共感を覚える。

芸術家や表現者が、「精神的病」に陥ったり「薬物依存」に走ってしまう傾向にあるのは、「神秘
的な感性」と「現実の社会常識」との隔たりの間で、苦しみ、疲れてしまうからかもしれない。

サルバドールダリの様に、一見クレイジーで、社会性に欠けた言動をしたり、非常に批判精神
が旺盛だったりしたのは、全て計算ずくで演じていた「真の芸術家」の姿だったと思う。

2006年2月26日 加藤 慶記