「森の史実」

そこには、誰にも記録されない森の史実があった。
遥か遠くの山で、小さな鳥が、さらに小さな甲虫を啄もうとしてやめた。
ああ、今日は今まででもっとも長い一日になるだろうと、私はザックを背に出掛けるのだ。

澤口 聖